「バレエの経験は一生の輝き!」 プロダンサー志望からのキャリアチェンジインタビュー


 
 

「バレエの経験は一生の輝き! プロダンサー志望から転向し研修プランナーとして活躍中の本陣 恵梨(ほんじん えり)さん」

 
 
バレエを続けるか別の道を選ぶかを悩む方も少なくないはずです。
 
今回は、3歳から続けてきたバレエを辞めて就職した本陣さんに「その後のキャリア」の話を伺いました。
入団テストを受ける予定だった2011年、東日本大震災がありカンパニーの受験を断念。
現在は企業で賞を受賞するほど精力的に仕事に打ち込んでいる本陣さん。
 
ただ、就職当初はバレエを辞めて社会人になった自分に戸惑うこともあったそう。
それを乗り越え活躍する彼女のお話は「バレエで培われた人間力は社会で大いに生きる!」と、何度も確認する機会となりました。
 
これからのキャリアに悩む方へぜひ読んでほしいと思います。
 
 

■本陣さんプロフィールご紹介

 
本陣 恵梨(ほんじん えり)
・1989年生まれ
・早稲田大学文化構想学部卒
・3歳よりクラシック・バレエを始める。埼玉全国舞踊コンクール等、国内コンクールで入賞。公益社団法人日本バレエ協会等の公演に出演。
・大学卒業後、研修会社に就職。事務職を経て研修講師として従事。全国の自治体及び民間企業にてコミュニケーション研修を担当
・現在はSBIビジネスサポート株式会社にて研修プランナー、サブマネージャー。2019年社長賞を受賞
 
 

大学生時、コンクールにてジゼルのVa(入賞)
 
 

●レッスンに打ち込む日々を振り返る


 
 
添田「本陣さんは3歳からバレエをやっていたんですね。」
 
本陣さん「そうですね。コンクールも学生の頃から出ていて、予選を通過して奨励賞を取れるかどうか、という感じでした。」
 
添田「レッスン数は週にどれぐらい入れていたんですか? それから、プロになりたいと思ったのは、いつごろでしたか。」
 
本陣さん「レッスンは日曜日以外は毎日、どこかでやっていました。プロになろうと思ったのは小さな頃からずっと当たり前のように、自分は将来大きくなったらバレリーナになると。」
 
添田「3歳で始めたという事は、最初はお母さんなりお父さんなりが選んで入ったということでしょうか。はじめたきっかけは?」
 
本陣さん「私が(小さい時に)家で踊っていたらしいんです。母が学生時代にバレエをやっていて、バレエが好きで。私は覚えていませんが『やりたい』と言ったらしく、教室を選んでもらって入りました。最初は週に2回、トウシューズを履いてからは週3回ですね。」
 
 

小学校2年時の発表会
 
 
添田「トウシューズを履いたのは何歳でしたか?」
 
本陣さん「小学4年生です。先生にかわいがってもらって、競争など全くない中で育ててもらったような感じでしたね。」
 
添田「なるほど、学校は公立?私立でしたか?」
 
本陣さん「学校は高校まで公立です。割と高校は自由な学校だったんですよ。『バレエの発表会があるので休みます』『バレエの練習があるので休みます』と言って休ませてもらっていました。」
 
添田「すごいですね、練習を優先させてもらえるとはいいですね!」
 
本陣さん「気軽に先生にメールで送って、しょうがないな〜と(言ってもらえて)。すごくありがたかったですね。」
 
 

●学業との両立、バレエで培った集中力


 
添田「当時の成績はどうでしたか?」
 
本陣さん「成績は中学まではすごく良くて、高校は真ん中ぐらいでしたね。」
 
添田「我が家(注:娘海外在住・現役バレエダンサー)も同じです。やっぱり成績が良いとバレエが上達してくるのですかね。」
 
本陣さん「要領が良いというか頭の回転が良いというか。なんでしょうね。私は、勉強は頑張りつつ、バレエの方は感覚で覚えていくような感じだったかもしれません。」
 
添田「よく、『受験だからバレエのレッスン回数を減らす』という方もいますが、回数減らしたからって勉強の成績が上がるとは限らなかったりしますよね。やっぱり、時間の使い方とか集中力とか。」
 
本陣さん「バレエを習っていると集中力は確かに上がります。根性が付きますね。
でも私、受験の時にはバレエをお休みしていたんです。成績のためというより、時々反抗期みたいにバレエから離れたい時期があって、それがたまたま受験と重なるので「受験を頑張ります」ということで離れて・・・本当に辞めるつもりでいるんですが、終わるとまた戻ってくるという感じでした。」
 
添田「一度バレエを離れても、何かを思い出してということでしょうか?」
 
本陣さん「踊っていないと気持ち悪くなるんです。ずっとやっていたものをやらなくなるとなんだか気持ちが悪い。
辞めている期間も(バレエのことを)考えて・・・舞台に出たいとかじゃなく、レッスンがしたい。」
 
添田「バレエが上手になる子はレッスンが好きですよね、オタクちっくですよね(笑)筋トレみたいにね。」
 
本陣さん「本当にそうだと思います。
なんかこう、極限状態で自分を鍛える。楽しいからやりたいという感覚ではなくストイックに追い込みたい。
高校生でコンクールに出始めてからはその感覚が強くなりました。周りの人もみんなそうでしたね、上手な子はストイックでしたね。」
 
 

●バレエで稼ぎたい。海外へ行くことを考えた大学3年春のできごと


 
添田「高校に行って、大学もストレートで受かって。その頃は自分はバレリーナになりたい、海外に行ってやろうとか、バレエで稼いでいこうとか考えませんでしたか。」
 
本陣さん「高校生の時、大学受験するかしないかという頃から具体的に考え始めました。
やはり日本でやるのは難しいとだんだんわかってきたのもその頃です。
 
どうしようかと考えていて、2011年の震災です。
3月に日本で開催される入団オーディションを受けようと思っていましたが、震災の後、全て開催中止になりました。
その後の目処も立ちませんでした。それが大学3年の3月です。
 
周りはみんな就活していました。
来年まで待っても、受かるかどうかわからないなと思って。
どうしようかな、生計を立てられないな、ちょっと就活でもしてみるか、ということで就活したんです。」
 
添田「入団オーディションが受けられなくなってしまったんですね。ちなみにどこに出しましたか?」
 
本陣さん「ドイツのカンパニーと、もうひとつがイスラエルです。
たまたま日本でオーディションを兼ねたワークショップがあって、受けようと思っていたのですが・・・。
震災の日もレッスンがあって、終わってから夜の教えに行く途中で震災に遭って、家族に連絡が取れないのが不安でした。
都内にいても様子が分からなくて不安なのに、海外に行ってやっていけるんだろうか、という気持ちになって。
 
冷静になって考えるとどっちも同じなのですが、自分の中では大きくショックな出来事だったので、気持ちを立て直すことができなくって。その後は電車も動かなかったので、しばらくレッスンにも行けないし、かなりへこんでしまって。・・・・家にずっといたら、就活にエントリーするしか、やることがないと。」
 
添田「確かに、エントリーするしか浮かばないかもしれない。」
 
本陣さん「色々考えました。当時、怪我もしていたのでそのまま踊っていていいのかなとも。」
 
添田「怪我はどこを?」
 
本陣さん「膝の半月板がやられていたんですが、手術をしなくても筋トレとマッサージでごまかしながら踊ることはできる状態。
すぐに痛くなってしまうけど、手術を受ければブランクが空いて、教えの仕事もできないんじゃないか・・・その間の収入がなくなるなとか、いろいろ考えることがありました。
 
大学卒業まで、活動費用は親に甘えさせてもらって、コンクールも出してもらっていたので、親から生計を立てる事を強く言われたわけではないけれど、自分の中ではけじめをつけたいということもあり。」
 

大学卒業時
 
 

●バレエを辞めて就職した時の気持ちを振り返って


 
添田「私もこれまで、様々な背景でバレエからキャリアチェンジをした方々のお話を聞いてきました。
あれだけ打ち込んできたバレエを、(頑張る対象を)バレエと違うものに切り替えるとき、結構「すごく落ちちゃって」とか、中には鬱になってしまう方もいます。
だから、そういう方が就職の相談を受けられて、気持ちを理解してもらえる場所作りたいと思ったのが今の仕事のきっかけなんですよ。
自分だけでは受け止められないこともありますからね。」
 
本陣さん「私は添田さんのお仕事の内容を拝見して、自分の時にこういうサービスがあったらすごく救われただろうな、と思います。
当時は一人で考えて一人でやって、うまくいかないなっていう感じでしたから。」
 
添田「今大学生の方とか、相談に来られますね。葛藤で悩んでいる人は多いと思います。
やっぱり当事者の立場だと、冷静に自分の次のキャリアと向き合うって難しいと言うか、本陣さんも経験されたと思いますが。
バレエを知っている人じゃないと聞けない話がたくさんあると思っています。」
 
本陣さん「そうですね。どれだけ重大なことか、なかなかわかってもらえないんです。」
 
添田「そうそう。重大なんですよね。」
 
本陣さん「いやあ、添田さんには8年前に出会いたかったです。本当に鬱になる子もいると思います。」
 
添田「これまでストイックにやってきているからね。」
 
本陣さん「他のことを犠牲にして、と言うと言い方は悪いですが、バレエってそれ一本でやるんですよね。
本当に自分にはバレエしかないという状態で世の中に放り出されてしまう感覚。本当はそんなことはないのですが。」
 
添田「今、もし本陣さんと同じ立場、状況の子が悩んでいるとしたら、何と言いますか?」
 
本陣さん「メンタルがやられているときに自分一人で考えると、大したことが考えられない。
まちがったとしても、どこに行ってもいい未来がある、フラットなところで自分のことを考えられる精神状態にすることはなかなか難しいことだと思います。
もし、就職するかしないかで迷っているなら、こっち(就職)をやってみてもいいんじゃない?と伝えるかもしれません。
どっちにも行ける状況だからこそ、悩むこともできるので・・・。」
 
添田「バレエダンサーを目指している段階で、やっぱり難しいな、それなら就職すべきかと悩むあたりが一番大変ではなかったですか。」
 
本陣さん「難しいですよね」
 
添田「この段階が一番きついですよね。」
 
本陣さん「その時に自分なりにやったことは、なぜバレエが好きなのか、バレエをやることで自分は何を得ているのか、ということを考えました。
舞台に出るのが好きなのか、レッスンが好きなのか、バレエを通して誰かに喜んでもらうことが大事なのか、
そうだとしたら、そもそもバレエという形でなくてもいいことなのか・・・こんな風にちょっと分解して考えてもらうと、やりたいことが見えるかな。」
 
添田「素晴らしい。そうですね。それ重要ですね。」
 
 

●バレエで培われた「対応力」は、仕事でも大いに生きている


 
添田「本陣さんの自身の力として、「ここでバレエの経験が生きているな」と思う時ってありますか?」
 
本陣さん「何でしょうね。無理するというと言い方が悪いかもしれませんが、頑張れる自信はあります。
あとは、意思、意志力でしょうか。」
 
添田「いいですね。私が親御さん向け講座を開催した時に、バレエを長く続けていくことにどんなメリットがあるのかというと、メンタル的に本当に強くなるということを伝えてます。長く続けるって重要ですよね。」
 
本陣さん「私の場合は本当にバレエしか自信を持てることがなかったので、すべてといえばすべてという感じになっていました。
毎日レッスンしないといけない。ちゃんと決まった時間に起きて、調子が悪くてもまずレッスンする。
レッスンする前にも自分で準備してトレーニングして、先生に怒られながらやって、本番までに自分で調整して良い成果を出す。
体もメンタルもいい状態に持っていかないといい成果が出ないので、自分をコントロールする力がつくというか。」
 
添田「本当にそうですよね。コントロールが重要。今の仕事はやりがいありますか?」
 
本陣さん「めちゃめちゃあります、すごく楽しくて、周りに恵まれているのもありますけど、楽しいです。第二の人生!」
 
 

社会人。現職にて社長賞を受賞
 
 
添田「今の仕事のメインの楽しみは?」
 
本陣さん「お客様や、仲間と話をすることです。バレエをやっていた時の自分とは、全然違いますね。
小さい頃、バレエが自分に向いていると思ったのは、しゃべらなくても良いというのがすごく大きかったんです。
踊ることでなんとなくコミュニケーションが図れるというか、存在を認めてもらえるというか。
 
しゃべることはとても苦手でしたし、今もそこまでではありませんが、話すことは訓練でどうにかなるんです。」
 
添田「なるほど。話すことは訓練でどうにかなる。いい言葉ですね。本陣さんは、就活ではどのように就職先を決めましたか?」
 
本陣さん「私は、新卒でたまたま入った会社が研修の会社で、今も研修の仕事をしています。
仕事が面白いと思うようになったのは、20代半ばぐらいの時に、研修講師にならないかと言われて講師養成を受けて講師デビューしたころからです。
 
講師になると、平日仕事に行ってこなして帰ってくるだけじゃなくて、土日も勉強しなくちゃならないんですね。
ちょっと難しいことに挑戦することが、面白いかもしれないと思って。」
 
添田「なるほど、ただこなすのではなくて、自分で考えながらチャレンジしながら成長する仕事ということが向いていると。」
 
本陣さん「大変なこと、みんなができればやりたくないことが、バレエ経験者には結構向いているかもしれない。」
 
添田「バレエ経験者は向いているかもしれない。いいですね。
バレエで培ってきた能力の中で、仕事の上で役立っている力は何ですか?この仕事にこういう風に活かしています、ということがあれば聞きたいですね。」
 
本陣さん「すごく抽象的な表現なのですが、今の会社の上席研究員の先生が、ビジネスマンに必要な能力を3つ出しているんです。
失敗から学ぶ力。どんな状況でも何とかする力。上司と良い関係をつくる力。
この3つがビジネスマンに必要なスキルだと。それはバレエで培われてきたと思います。」
 
添田「なるほど」
 
本陣さん「どんな状況でも何とかする、と言えば、バレエをやっていると、先生によってタイプがあって、感覚的にフィードバックをする人もいれば、論理的にフィードバックする人もいる。
 
例えば『「花のように」って何??』と思っても、ダンサーは何とかするんですよね。『教えてもらっていないからわかりません』とはならない。
無茶ぶりを何とか自分なりに噛み砕いてアウトプットする力は鍛えられる。どういうことかわからなくても、音は鳴るし待ってはくれない。」
 
添田「確かにめげないですよね。普通ではありえないということも、なんとかする。
よくわからないけど舞台はうまくいった、苦楽を共にしたということですよね。
会社の中、社会の中で必要な要素がバレエにあったということですね。カンパニーに入っている子もみんなそうですね。外国人のディレクターとも関係性をうまく作ってやっていますものね。」
 
本陣さん「なので、バレエ出身者はちょっとハードル高い仕事に就いた方が能力を発揮しますよ。」
 
添田「なかなか世間一般の感覚では、バレエ経験者は芸術家として黙々とやるイメージがあるのか世間知らずで何が出来るか分からないと思われる方も多い、けれど大きな山を登るような大変な仕事にこそ、ストイックに活躍するんですよ。
本陣さんはまさにその見本のようなご活躍ですね。」
 
本陣さん「外国のバレエ界はわからないですが、日本のバレエ界は結構体育会系なイメージですよね。
それは厳しいっていう意味もありますが、頑張ればちゃんと上の人がかわいがってくれて、引き抜いてくれたり見出してくれたりするという意味でも。
 
今の仕事では企業の新人研修に行ったりするのですが、若い方だと上の年齢層とのコミュニケーションに不安を持つ方も多いです。
バレエの経験があると、先生も大先輩もいる中でやってきているので、幅広い世代と関わることにも慣れているかと。」
 
添田「ただ学校に通うだけよりもずっといいですね。」
 
本陣さん「いろんな世代とのコミュニケーションがうまくなるんじゃないかなと思います。」
 
添田「本陣さん、キャリアに思い悩んだ時のことから、現在のお仕事のお話までたくさん聞かせていただきありがとうございました。」
 

インタビューの様子
 
 

編集後記

 
本陣さんの実体験を、バレエを長く続けることで社会に通ずる力がつく例として紹介したく今回お話を伺いました。
 
本編でも触れましたが、本気でバレエに取り組んできたことの「重み」は、本人や本人のすぐ側でサポートした経験のある人にしかわからないものです。
 
日常生活を除く全てを懸けるほどの熱量で取り組んできたことを止めるとき、気持ちを理解してもらい、安心して相談できる場所が必要と考え、この活動を始めて早5年以上が経ちました。
 
現在は理念に共感する仲間のプロとつながりを持ち、協力してサポートをしています。今後も引き続き仲間を増やしながら、「バレエに真剣に取り組んできた若く優秀な人材」のキャリアチェンジと社会での活躍を、バレエ親子のメンタルコーチ兼キャリアコーチの立場で応援してまいります。
 
 

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